Internship つくば

... - 19E -
加速器を支える超高真空技術
~真空の基礎学習と機器制御の体験~

- キーワード -
放射光、真空機器、超高真空、測定機器

電子や陽子などの加速器では長時間安定に運転するために、高エネルギーのビームが通過する金属パイプの中を10-8 Pa程度の超高真空に保つ事が大切です。この超高真空を維持しておかなければ、せっかく打ち込んだ電子ビームが気体分子に散乱され、短時間で失われてしまうからです。放射光光源加速器(PFリング)の真空グループでは、測定機器を含めてこの超高真空を保つため日々真空機器装置の研究開発および技術開発に取り組んでいます。
本コースでは、真空機器の組立て、真空計の選定方法、真空ポンプの選定方法など、加速器における真空技術の基礎として解説します。その後、PFリングで実際に使用している測定機器を使った技術開発の手法について体験していただきます。また、当日はPFリング制御室で加速器運転中の真空機器装置運転状況の確認(見学)もしていただきます。

... - 19F -
加速器真空技術
~SuperKEKBを例にして~

- キーワード -
真空機器、超高真空、真空機器組付け

私たちは、大気圧(約100,000Pa)の重みを無意識に感じています。高い山や上空では、空気が薄くなります。空気中に含まれる分子の数も減るため、気圧が低くなります(負圧)。
真空技術の分野では「大気圧よりも圧力の低い状態」は「真空」と定義します。例えば、どの家庭にもある真空掃除機で云う「真空」はエベレスト頂上と同じ圧力(約30,000Pa)で十分です。しかし、SuperKEKB加速器では地球の赤道上空の高度約35,786km上の静止衛星が飛んでいる場所と同じ圧力約10-8 Pa(0.00000001Pa)になっています。
私たちが居る地上で、どうやってそんな圧力を実現しているのでしょうか? 本コースでは真空科学の基礎と加速器における真空システムや装置を解説します。その後、実際に機器を組み立てて、外部に対して漏れが発生しないよう注意しながら、宇宙空間の圧力作りにチャレンジしていただきます。

... - 19G -
素粒子原子核および宇宙物理学を支える技術
~極低温技術とミクロからマクロまで測定する検出器設計~

- キーワード -
液化ヘリウム、液化窒素、超電導電磁石、磁場測定、検出器、機械設計、CAD、解析

超電導体からできた線は、ある温度以下に冷却すると電気抵抗がゼロになる超電導現象を生じます。この超電導線をコイルにして電流を流すと非常に強力な電磁石になるので、強くて大きな磁場空間を物理実験に提供する事ができます。機構では数多くの超電導電磁石が使用されています。低温グループでは基礎研究として高温超電導線材で製作した超電導コイルを超電導状態まで冷却して通電を行い、発生する磁場を体験します。また、冷却で使用する低温寒剤である液化ヘリウムと液化窒素の取扱いの説明を行います。メカグループでは設計のツールであるCAD、また構造や熱、振動等を解析するための構造解析ソフト等の基礎知識の学習と体験を行います。さらに主な業務である検出器設計に必要な様々な検出器の用途や設計のポイントなどを学習し、最後に筑波実験室で検出器やBelle測定器の見学を行います。

... - 19H1 -
加速器の制御技術
~コンピュータを用いた大型実験装置の制御~

- キーワード -
加速器の計算機制御、プログラミング

「午前」加速器は非常に多くの機器によって構成されています。例えば、周長3 kmのSuperKEKB加速器は約1万台の機器によって構成されています。私たちは日常生活で照明やテレビ、エアコンなど多くの機器をスイッチやリモコンで操作しています。しかし、多数の機器で構成される加速器をスイッチやリモコンだけで操作することは難しいでしょう。そのため、多くの機器へ瞬時に指令を伝え、測定データを受け取るための制御システムが必要になります。このような制御はコンピュータが得意とする分野です。
KEKでは、「多数のコンピュータ」と「EPICSと呼ばれるソフトウェア」を用いて加速器の制御システムを構築しています。本コースでは、SuperKEKB加速器を例にして、加速器の制御システムについて説明します。また、実習を通してEPICSを使った制御システムを体験してもらいます。SuperKEKB加速器の中央制御室や計算機室の見学も行います。

... - 19H2 -
高エネルギー加速器と放射能と放射線管理
~加速器を冷やす冷却水の中の放射能の測定と廃水の管理~

- キーワード -
放射線管理、冷却水、放射化、トリチウム

「午後」ビームラインに設置された電磁石などの加速器の機器は、運転時に発生する熱を冷やすために水を使用しています。特に高エネルギーで高出力の加速器では、ビーム運転によって中性子などが発生して、水中にトリチウムが生成され、トリチウム水ができることがあります。同様に、配管が放射線にさらされることで、冷却水に放射能が溶け込むこともあります。
加速器には、冷却水の定期的な交換が必要です。このため、使用済みの水を適切に処理する必要があります。水を排出する前に、水中の放射能が放流基準未満であることを確認します。この確認作業では、液体シンチレーションカウンターを使用してサンプルの放射線を測定します。
本コースでは、実際の現場で行われている水の測定に参加し、加速器の冷却水の放流に関する施設を見学します。

... - 20J -
加速器の心臓部、粒子加速装置とは?
~粒子を加速する高電界の生成技術 & 加速エネルギーを発生・伝送する技術~

- キーワード -
加速装置、大電力、高周波

加速器には、粒子を加速するための装置が不可欠です。
SuperKEKB加速器では、大電力の電磁場(周波数509 MHz=UHF帯)を加速空洞と呼ばれる装置に投入することで高電界を生み出し、粒子加速に応用しています。
このコースでは、午前・午後で異なるテーマの実習に挑戦し、SuperKEKB加速器の粒子加速装置について包括的に体験していただきます。
午前は「粒子を加速する高電界の生成技術」というテーマで、実際の加速空洞を見学し、シミュレーションやネットワークアナライザを使ったARES空洞の特性測定などを体験します。
午後は「加速エネルギーを発生・伝送する技術」と題し、加速空洞へ供給する大電力高周波の発生および伝送に関する装置について、実際に行う仕事のひとつを体験します

... - 20K -
加速器の電磁石・電源技術
~電磁石の磁場測定と電磁石電源の制御を体験する~

- キーワード -
電磁石設計、精密測定、遠隔制御、装置アライメント

電磁石と電磁石電源は、加速器を構成する主要要素の一つで、荷電粒子を輸送・蓄積したり、品質を高めたりする役割を担っています。放射光源用蓄積リング(PFリング)は、40年もの間、安定して光(放射光)を供給し続けている加速器で、ダンピングリング(DR)は、衝突型加速器として世界最高の性能を記録したKEKBの性能を更に超えるSuper KEKBのために、陽電子の品質を高める(エミッタンスを小さくする)ことを目的とした加速器です。
本コースでは、最初に電磁石や電磁石電源について説明し、その後大小様々な電磁石電源が並ぶDR電源棟を見学します。実習では、実際の加速器で使用している電磁石を用いて、電磁石の磁場を測定しながら、電磁石の基本的な特性や電磁石電源の制御方法、電磁石を正確な位置に据え付けるための精密アラインメント技術について、幅広く体験することができます。

... - 20L1 -
素粒子原子核実験の世界へ
~データ収集システムの入口探検エレクトロニクスシステム~

- キーワード -
エレクトロニクス、データ収集システム

「午前」素粒子原子核実験では実験で発生した事象を各種センサーでとらえ、コンピュータにデータとして保存して、解析しサイエンスとしての結果を出します。各種センサーで発生するデータはアナログデータなので、そのままではコンピュータに取り込むことができません。途中でデジタル化する必要があります。
デジタル化はいろいろなエレクトロニクス技術が使われた基板でで行われます。基板からのデジタルデータをコンピュータに送る経路としては日常よく使われているイーサネットが使われています。コンピュータでデータを読み取るためのプログラムの開発も必要になります。これらデータを読むために必要になるものをデータ収集システムとよんでいます。
このコースでは簡単な回路を組んで機器を制御する方法を体験します。また宇宙線検出のデモ実験を行います。その後、開発現場ブースの見学も行います。

... - 20L2 -
超伝導を支える技術
~ヘリウムを液化する~

- キーワード -
液体ヘリウム、液体窒素、高圧ガス、超伝導電磁石

「午後」加速器には、超伝導を利用した装置が多く用いられています。現在、主に使用されている超伝導材料は液体ヘリウムでの冷却が必須になります。
超伝導低温工学センターでは、2台の大型ヘリウム液化冷凍機を中心とする高圧ガス機器を保有し、超伝導の加速器実験用電磁石の開発、ならびに機構内の極低温実験で使用する液体ヘリウム製造・供給を行っています。
当センターの技術職員は、その日常的な管理・運用から安全管理・機能改善のための装置改修や機器開発など、設備に関わる殆どを担当しています。
本コースでは、希少な元素であるヘリウムを循環させて再利用する回収・液化システムを紹介します。その概要を理解いただくと共に、基本的な現場作業である配管加工、漏洩試験と極低温冷媒(液体窒素)取り扱い作業の体験をしていただきます。