Internship つくば

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低温センター基幹業務の体験
コース番号:08A

加速器が成果を上げる陰では様々なインフラが必要となります。超伝導低温工学センターではそのような加速器インフラにおける低温技術を担当しています。主たる業務としては各種施設で用いられる低温寒剤(LN2やLHe)の供給と、その回収-再液化サイクルの管理が挙がります。この中には液化ガスプラントの運転も含まれ、専門の技術職員によってその円滑な運用が日々行われております。また、研究活動として超伝導電磁石の開発や物性実験が行われますが、それらの計測制御システムの製作なども技術職員の業務に当たります。いずれも地味な部分の更に縁の下であることは間違いありません。ですが、血液なくして人が動かないように、これらがなければKEKもないものと自負しております。我々超伝導低温工学センター技術部門では、そのような下支えとして辣腕を振るっていただける方を募集しております。
その第一歩として、興味をお持ちいただいた方に各種業務を網羅的にご体験いただけるコースを用意しました。

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放射光利用実験を支えるビームライン技術
コース番号:08B

物質構造科学研究所には加速器で生み出される「放射光」を用いて物質・生命科学研究を行う為の放射光実験施設があります。材料科学、生命科学、地球惑星科学など様々な分野での実験が実施されています。放射光利用実験では「ビームライン」を用いて、放射光を観測したい物質(試料)まで導き、照射することで実験データを得ます。放射光を正確に試料に照射するためにはマイクロメートルオーダーの位置決め精度が要求されます。また、ビームラインの下流部には温度や圧力など試料環境をコントロールするための装置や、放射光を計測するための検出器、自動計測システムなどが設置され、様々な技術を駆使して物質研究の発展に寄与しています。これらの機器は高度な知識と技術を持った職員が設計から設置、運用までを行っています。
本コースでは、実際のビームラインに触れながら、光学素子のメンテナンスや実験装置の制御などを体験していただき、仕組みについて学ぶことができます。

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線形加速器の高周波加速器を設計して作ってみよう
コース番号:08C

SuperKEKB及びPF/PF-AR のそれぞれのリングに電子を供給している電子陽電子入射器では、80億ボルトという電圧まで高周波加速空洞で電子を加速しています。
このような非常に高い電圧まで加速が可能なのは、GHz(10^9Hz)以上の周波数による高いエネルギー密度のマイクロ波を、さらに空洞に蓄積する事で高い電圧を発生させています。
このコースでは、高周波加速器のシミュレーションによる設計と、実際に簡単な製作・測定までを体験し、実際に行う仕事の一部を体験してもらいます。
またこれらの他に電子源や高周波源などの主要な技術の見学を行い、職場体験をしてもらいます。

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電磁石の精密アライメントと磁場測定
コース番号:09D

加速器を構成する主要機器の一つである電磁石をレーザートラッカーで精密にアライメントし、通水・通電・磁場測定までを体系的に体験していただきます。
午前中は業務の紹介及び上記にかかる座学、午後はギャラリーの磁場測定テストスタンドにて座学で得た知識をもとに一連の業務を実践形式で紹介いたします。
最後に機会があれば加速器トンネルに入室し、座学と実習で得られた体験のより具体的なイメージを描けるよう実物を見学しながら解説いたします。

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加速器を支える超高真空技術の体験
コース番号:09E

電子や陽子などの加速器では長時間安定に運転するために、高エネルギーのビームが通過する金属パイプの中を10-8 Pa程度の超高真空に保つ事が大切です。この超高真空を維持しておかなければ、せっかく打ち込んだ電子ビームが気体分子に散乱され、短時間で失われてしまうからです。放射光光源加速器(PFリング)の真空グループでは、測定機器を含めてこの超高真空を保つため日々真空機器装置の研究開発および技術開発に取り組んでいます。
本コースでは、真空機器の組立て、真空計の選定方法、真空ポンプの選定方法など、加速器における真空技術の基礎として解説します。その後、PFリングで実際に使用している測定機器を使った技術開発の手法について体験していただきます。また、当日はPFリング制御室で加速器運転中の真空機器装置運転状況の確認(見学)もしていただきます。

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極低温の世界を体験
~極低温の物性を学ぶ~
コース番号:09F_AM

素粒子原子核研究所では、素粒子原子核実験や粒子加速器の分野で必要とされる超伝導電磁石の開発と電磁石の冷却システムの開発・運転を行っています。また、集積回路などを極低温に冷却して性能評価を行う基礎研究も行っています。
本コースでは、冷却に使用される液体ヘリウムの熱流体特性を概説したうえで、液体窒素・液体ヘリウムの寒剤および高圧ガスボンベの安全な取り扱い方を学びます。あわせて、液体ヘリウムを使用する断熱容器(クライオスタット)の構造について理解を深めてもらいます。さらに、実際に液体ヘリウムをクライオスタットにトランスファーし、伝導・自然対流・核沸騰・膜沸騰といった各熱伝達モードにおける特性を実測・比較することで、その熱伝達特性を体感的に学んでもらいます。

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放射線センサーの信号をとらえる集積回路の設計体験
コース番号:09F_PM

物質の構成要素である原子核および素粒子をターゲットとする素粒子原子核実験はどのように行われているかご存じでしょうか。実験で発生した物理事象をとらえて、何が起こったのか理解するためにコンピュータによる解析を行うのです。事象をとらえるためには、目となるセンサーで「電気信号を検出」します。そして「検出した信号をコンピュータに送るためにアナログ・デジタル変換」を行い、「コンピュータで解析」を行うという大まかに3つのプロセスが必要となります。これらのプロセスでは各々センサー、エレクトロニクス、データ収集の専用技術が用いられます。これらを総称して私たちは「エレクトロニクスシステム」と呼んでいます。
本コースでは宇宙線検出のデモ実験や信号処理・データ収集について体験します。

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加速器で使われる水を計る
コース番号:09G

加速器を構成する電磁石や加速したビームを止める為のダンプなどは、使用に伴い熱が発生します。高出力になるほど発生する熱量も増加するため、KEKのような加速器施設では冷却のために大量の水が使用されています。この水は熱交換器を通して循環させて使用しますが、定期的に水の入れ替えを行っています。エネルギーが高くなると運転に伴って周囲を放射化させる場合があり、水分子中のHやOから放射性核種が生成することがあります。また配管の材質が冷却水中に溶け出すこともあります。このような水を下水へ放流する場合、各核種について法令で定められた排水基準や、下水道法等の排水基準を満たす必要があり、放射線科学センターではこれらの測定についても担当しています。本コースでは加速器施設から排出される水の測定をメインに、各種装置を用いた測定を体験していただきます。

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粒子加速装置とは?高周波加速の測定やシミュレーションを体験しよう
コース番号:10H

加速器には、粒子を加速するための装置が不可欠です。 SuperKEKB加速器では、「加速空洞」と呼ばれる装置に大電力の電磁場(高周波、RF)を投入することで高電界を生み出し、粒子加速に利用しています。 このコースでは、午前は「加速空洞」、午後は加速空洞に供給する「大電力高周波」と、それぞれ異なるテーマの実習を通じ、SuperKEKBのRFシステム(粒子加速装置)について包括的に体験していただきます。

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コンピュータを用いた加速器の監視・制御
コース番号:10J

加速器は非常に多くの機器によって構成されています。例えば、周長3 kmのSuperKEKB加速器は約1万台の機器によって構成されています。私たちは日常生活で照明やテレビ、エアコンなど多くの機器をスイッチやリモコンで操作しています。しかし、多数の機器で構成される加速器をスイッチやリモコンだけで操作することは難しいでしょう。そのため、多くの機器へ瞬時に指令を伝え、測定データを受け取るための制御システムが必要になります。KEKではこのような制御システムを「多数のコンピュータ」と「EPICSと呼ばれるソフトウェア」を用いて構築しています。
本コースでは、SuperKEKB加速器を例にして、加速器の制御システムについて説明します。また、実習を通してEPICSを使った制御システムを体験してもらいます。

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加速器に使用する真空部品の気密溶接と完成品の性能評価体験
コース番号:10K

KEKで使用される実験機器や装置は日々高性能化に向け進歩しています。
機械工学センターでは機構で必要とされる様々な実験機器をものづくりでサポートするために基盤技術となる加工・設計・計測・メカトロニクス、材料などの機械工学分野で技術職員は研究者と一緒に進めています。世界最先端の実験を支える実験機器ならびに加速器部品などの製作技術の構築や研究開発をおこなっています。
本コースでは実験機器や加速器部品などの製作技術を体験できます。製作現場の見学ならびに機密溶接の基本およびリークチェックなど真空溶接技術の体験を通して、機械工学センターの活動を理解することができます。

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加速器を構成する電磁石の力を測定して電磁石電源の制御やアライメント技術を体験しよう
コース番号:10L

電磁石と電磁石電源は、加速器を構成する主要要素の一つです。荷電粒子を輸送・蓄積したり、ビームの品質を高めたりする役割を担っています。放射光源用蓄積リング(PFリング)は、40年もの間、安定して光(放射光)を供給し続けている加速器です。また、陽電子ダンピングリング(DR)は、衝突型加速器として世界最高の性能を記録したKEKBの性能を更に超えるSuperKEKBのために、陽電子の品質を高める(エミッタンスを小さくする)ことを目的とした加速器です。
本コースでは、初めにPFリングやDRを紹介し、それぞれの電磁石や電磁石電源について説明します。その後、大小様々な電磁石電源が並ぶDR電源棟と、電磁石が配置されている加速器(DR)を見学します。また、実習では実際の加速器で使用している電磁石を用いて電磁石の磁場を測定しながら、電磁石の基本的な特性や電磁石電源の制御方法、電磁石を正確な位置に据え付けるための精密アラインメント技術について、幅広く体験することができます。