コース番号:03S   担当部署:加速器研究施設

遅い取り出し機器の見学と真空排気の体験


概要

 J-PARCメインリング(MR)は、周長約1600mの周回型加速器であり、陽子ビームは約30万回まわりながら加速され光速の99.95%まで達し、ニュートリノ実験施設とハドロン実験施設に導かれます。
ニュートリノ実験施設へは「速い取り出し」ですが、ハドロン実験施設へは『遅い取り出し』と呼ばれるビーム取り出しが用いられます。これはハドロン実験施設において、時間当たりの反応検出回数を均一にするためのとても難しい技術です。ビームをハドロン実験施設へ安定的に取り出すためにさまざまな工夫がありますが、その一つが、ビームダクト内を真空に保つことです。真空が維持されなければ、せっかく生成したビーム粒子が気体分子との衝突により散乱して失われてしまいます。
 本コースでは、周回ビームをゆっくりと取り出すための機器の紹介とともに、模擬ダクトの真空引きを体験していただきます。


内容

 ハドロン実験施設へ陽子ビームを供給する場合は、ビームを少しずつ長時間(4秒程度)で取り出すことが要求され、これを「遅い取り出し」と言います。遅い取り出しの過程では、共鳴六極電磁石、取り出し四極電磁石、リップル四極電磁石を使い、ビームの共鳴(ビーム進行方向に垂直な振動を共振させる)を利用して、ビームダクト内壁にビームが当たって失われない範囲でビームの分布(断面)を拡げます。次にバンプ電磁石で、ビーム軌道を静電セプタムに寄せ、ビーム断面の端を削り取るように周回軌道から分離させます。さらにセプタム電磁石で、ハドロン実験施設への取り出しビームラインに導きます。このように周回しているビームの一部を少しずつ取り出し、その時間も延ばすことでハドロン実験施設の要求に応えています。これについて詳細な解説を行うとともに、メインリングのある加速器トンネル内へ案内し、遅い取り出しのための機器やハドロン実験施設へのビームラインを見学していただきます。
 一方、リング内を周回するビームを失われないようにするための重要な要素が真空です。ビームダクト内が真空に維持されなければ、ビーム粒子は、気体分子との衝突により散乱して失われてしまいます。しかし、加速器のメンテナンスなどでは、ダクト内を大気圧にすることもあります。今回は、メンテナンス時に大気圧にしたダクトを再度真空にする作業を模擬し、試験用のダクトの真空引きを体験していただきます。一般の機械分野ではあまりなじみのない、ごく小さな圧力、真空ポンプの排気速度、リークレートなどの物理量について、解説します。また実際に測定を行ってもらい、計算を通じてこれらの量の意味を実感していただきます。上記のトンネル内を見学の際は、実際に用いられている真空機器も見ていただきます。

午前の内容:真空排気の体験
午後の内容:安定したビーム取り出しに関する講義と施設見学

注意事項


ここがポイント


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ビームダクトと排気装置
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ビームライン