コース番号:02K_PM   担当部署:素粒子原子核研究所

極低温の世界を体験 ~極低温の物性を学ぶ~


概要

 高エネルギー加速器研究機構では,超伝導電磁石や超伝導加速空洞などの超伝導機器を冷却するために,液体ヘリウムを使用しています。液体ヘリウムは,絶対零度に近い温度でも高圧をかけない限り固化せず,液体状態を保つことができます。また,2.172 K以下では超流動状態に転移し,異常な熱輸送特性などの量子流体特有の性質を示します。こうした特異な性質を活用することで,液体ヘリウムは極低温冷却用の優れた冷媒として広く利用されています。 さらに,温度を下げることで熱雑音が大幅に減少し,測定感度が向上するという利点もあるため,液体ヘリウムは精密な物理測定の分野でも欠かせない存在となっています。

 今回のインターンシップでは,液体ヘリウムを使用する断熱容器(クライオスタット)の構造について学ぶとともに,実際に液体ヘリウムをクライオスタットへトランスファーして冷却実験を行い,その熱伝達特性を理解していただきます。あわせて,液体窒素やヘリウムガスボンベの取り扱い,真空ポンプの操作など,クライオスタットの運用に必要な機器の扱い方についても実習を通じて経験していただきます。さらに,低温測定に用いる温度センサや計測システムについても,手を動かしながら測定手法を習得していただきます。


内容

コースでは以下を実施します。

  1. 液体ヘリウムの性質の学習
      通常の粘性流体としての性質と,2.172 K以下で出現する超流動ヘリウムの基本的特徴の理解。
  2. クライオスタットの構造理解
      多重シールド構造,断熱真空槽,冷媒導入部などのクライオスタットの基本構造の理解。
  3. 温度センサの配線と計測系の構築
      実際に温度センサを接続し,温度信号の読み出し回路を構築。
  4. 安全確認と事前準備
      低温機器・高圧ガス・真空装置に対する取り扱い手順とリーク試験など冷却前の必須確認事項の実施。
  5. 液体窒素および液体ヘリウムのトランスファー
      クライオスタットへの極低温流体のトランスファーと寒剤取り扱い方法の習得。
  6. 熱伝達特性の測定
      クライオスタット内の温度変化を通じた熱輸送の観測。
  7. 超流動ヘリウムへの相転移の観測
      相転移点付近での温度変化や流体挙動の変化の確認。

注意事項


ここがポイント


...
液体ヘリウム中の熱伝達の一例
...
熱伝達測定用発熱体
...
極低温実験用装置群